四方山日記

とりあえず毎日つけることが目標であり目的。画像は本人です

2021-02-10

・映画

友人のクソホラー好きに誘われて【樹海村】見てきました。以下(多分)ネタバレ込みの感想。



















観た直後はそんなでもなかったはずなのに、帰り路をゆくうちに「俺は今日の二時間をこの映画に使ったのか……」という事実をゆっくり噛み締めさせられる映画でした。短くまとめると「平坦な虚無」。

盛り上がりどころが少ない、時系列がやや分かりづらいなどの問題点はありますが、それでも物語の進行自体は登場人物(登場事象)それぞれにしっかりと理由付けがされたうえでつつがなく進みます。この辺が僕が映画館を出たあとに「なんだ、(とりたてて騒ぐほどのクソホラーでもない)普通の映画じゃん」と言った理由なんだと思う。

問題は、その盛り上がりの少ない話が二時間も続くこと。

それぞれに用意され複雑に絡み合っている"ように見える"怪奇現象もそこまで奥深く突き詰めるようなものでもなく、登場人物の人間関係もかなりあっさりめの味つけで、ねっとりと引きずるようなこともなく。時系列を飛ばし飛ばしに流す場面でも、一つ一つがその場面だけで解決して"しまう"ので大きなしこりが残るようなこともなく。かといって笑い飛ばせるようなおかしなシーンがあるわけでもなく。
そんな話と映像を、二時間。そう二時間。長、すぎる。せめて60分、いや70分で、90分でもまだましだった。なんなら途中で「ここで終わらせれば綺麗ではないにせよいい尺なのでは」というシーンがいくつかあった。「このシーンいつ終わるんだろうか」という長尺のシーンがいくつもあった。何故、どうして……。

これはこの映画の名誉のために言うんですが、他のいわゆるクソホラー群と比べても、この映画は取り立てて悪いところがあるわけではないと思います。先に述べたように話の筋道はある程度しっかり立っていますし、映像も(もちろん最近の日本ホラーにおける"シュール"さのようなものは多少はあるにしろ)馬鹿にされるような滑稽さがあるわけではありません。役者さんの演技もとりたてて悪いわけでもなく。しかし、いや、だからこそ、なんでしょうか……。なんなんだろう、この胸に溢れてくる虚無感は……。

個人的にはチョコレート味の焼きそばを食べた時を思い出しました。『不味いわけではないけれど美味いわけでもなく、ただ時間と胃袋だけを虚無に吸い込まれた』。視聴後、時間を浪費したという事実を噛み締めるたびに疲労感が蓄積する、そういう映画でした。おしまい。